成年後見制度を利用される前にご相談ください
2016/10/05
今日もこのブログにお越しくださってありがとうございます。
今このブログをご覧の方の中には、ご家族・ご親族に認知症、あるい知的障害がい、精神障がいで判断力が不十分な方がおられる方もいらっしゃることでしょう。
ご身内の方にご不幸があって遺産分割協議をする時や、金融機関の利用や施設への入所手続きで成年後見人をつけてほしいと言われて、成年後見制度の利用をお考えになることがあるかも知れません。
ここでご注意ください。
家庭裁判所に成年後見開始の申立てをする場合、たとえ後見人等の候補者を挙げても、その候補者が選任されるとは限りません。希望者する候補者が選任されなくても、不服の申立てをしたり、後見制度を利用することをやめることは出来ません。
また、家庭裁判所に申立てをする成年後見制度(法定後見といいます)では、本人の程度により、重い方から後見・保佐・補助という3種類があります。この内、後見・保佐に該当し、後見人・保佐人が家庭裁判所によって選任されると、本人の仕事などが制限を受けます。医師、弁護士や行政書士などの士業、会社役員、保険代理店などができなくなります。
後見制度を利用される時は、よく検討された方がいいでしょう。
さて、この人に後見人をしてほしいと本人や家族が望んでも、その通りになるかどうかは分からないことは既に述べましたが、もし将来、認知症になった時に、家族などどうしてもこの人に後見人をしてほしいという人がいる場合、その人が後見人になる方法は何かないのでしょうか?
その方法の一つは、本人がまだ契約ができる状態の間に任意後見契約を結んでおくことです。
ただし、公正証書を作成するので手数料はかかります。また、任意後見人の報酬の他に、任意後見監督人の報酬がかかります。(任意後見人の報酬は契約により定めます。家族などが任意後見人になる場合は、報酬を支払わないこともできます)
ここで、この任意後見制度について説明します。
後見契約を結んだ後、実際に認知症になり、後見を開始するに当たっては任意後見監督人の選任を家庭裁判所に申立てます。家庭裁判所が選任した任意後見監督人のもとで後見が行われるのが任意後見制度です。
前述の通り、任意後見監督人には、家庭裁判所が決めた報酬を支払う必要があります。
考えてみれば、成年後見制度を利用しないで済むことが一番良いことでしょう。実際、色々とお話を聞くと、成年後見制度を利用する必要のない方まで利用されているということもあるようです。
家族や親族の方がきっちりと本人のお世話をされ、財産管理も問題なく、相続など本人を代理する人の必要もない場合、成年後見制度を利用されないということも可能でしょう。ただし親族間で争う可能性がある場合などは、成年後見制度の利用により、財産管理などを明らかにしておく方が良いケースもあります。
成年後見制度を利用せざるを得ない場合も、財産管理だけを第三者に委託し、家族や親族が身上監護(介護に関する契約、病院の入院など)を担当するという方法もあります。本人にとって何が良いことを知っておられるのは、家族や親族の方でしょうから。
その一方で、家族や親族のおられない方、あるいはいらっしゃっても遠方にお住まいだったり、疎遠になっている方で、ご自分でお金の管理などが出来なくなった方のためには、第三者の後見人もやむを得ないでしょう。それでも、ご本人との信頼関係が大切だと私は考えています。
いずれにせよ、ケースバイケースで、本人や周囲の方にとって何がいいことかは変わってきます。
分からないことは家庭裁判所や成年後見に詳しい人に相談し、一番良い方法を選択されるようにお薦めいたします。
遺言書にしても相続にしても成年後見にしても、自分自身や家族のこととして考えると、色々と大変なことが見えてくると思います。
可能なら、まだ手を打てる時に調べたり、相談されたりすることをお薦めします。
◆成年後見制度の他、終活・相続対策などは当事務所にご相談ください。