転ばぬ先の……

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転ばぬ先の……

2015/10/14

私の母親がまだパン屋をしていた時(今から15年以上も前です)、あるお客さまから相談を受けました。
「近所の身寄りのないお婆さんに『私の保険金をあげるから後のことをお願いね』って言われていた。そのお婆さんが亡くなった後、役所に手続きに行ったのだけれど、『身寄りを探せ』って言われた。葬式もあげられないし、どうしたらいいのだろう?」
何日間もお葬式もあげられないし、困り切っておられたそうです。

結局、その方は、母親の勧めで市会議員さんを訪ねたようです。その後の経緯は分かりませんが、とりあえずお葬式は無事に済ませたようです。
(ちなみに保険金は一部しか受け取られなかったようです)

さて、このケースの対応です。
1. お婆さんが亡くなった後で、「身寄りを探せ」と言われても、亡くなった方の戸籍を集めて調べるのは大変です。しかも相談者は親族でもなく、ご本人が亡くなっているので委任状も用意できません。「探せ」と言われても無理でしょう。
こういった場合、行政書士に相談してください。「街の法律家」と呼ばれている行政書士は、あなたの近くにもいると思います。困っていることをぜひ相談してみてください。
2. 次に、お婆さんがまだご存命の時にしておいた方が良かった対応です。
身寄りがなくて、親族ではない人に後のことを頼みたい時に、死後のこと(葬儀や諸手続きなど)をしてくれることを条件として、遺産の一部を遺贈する内容の遺言書を作成するのも一つの方法です。
自分の死後のことを誰かに頼みたい時、または口頭でどなたかから頼まれた時も、行政書士に相談してください。
3. 最後にもう一点、保険のことです。
保険金については、この方のケースでは受取人がどうなっていたのかよく分かりません。ただ、一部しか受け取れなかったということを考えますと、受取人をその相談者に指定していたのかどうか疑問です。
保険の契約時には、家族・親族などのどなたかを受取人に指定しているはずです。しかし、その後に受取人が亡くなられたり、関係が変わったりして、他の人を受取人に変更したいということもあるでしょう。
受取人を変更するためには、必ず保険会社に所定の手続きを取ってください。

このケースも、お婆さんがご存命の間にご相談を受けていれば、何日間も葬儀があげられない・保険金も一部しかもらえない、というような結果にならなかったと思います。

現在、お子さんのおられない方は多くいらっしゃいます。また、お子さんがいらっしゃっても疎遠になっておられる方もいらっしゃるでしょう。
従来と家族の在り方が変わっています。今後、このように、親族以外の方に後をお願いしたいというケースは増えてくると思います。
後々にトラブルになったり、望んでいたこととは違う結果にならないためにも、対応が出来る間に専門家に相談されてはいかがでしょうか?